「待機児童」とは、保育園に入りたいのに入れない子どものことです。特に東京や大阪など都会では、この問題が深刻です。親が働きたいけど保育園が見つからないという状況は、家庭にも社会にも大きな負担を与えています。
政府はこの問題に取り組んできた結果、待機児童数は少しずつ減ってきました。例えば、2017年には全国で26,081人でしたが、2023年には5,007人と大幅に減少しました。それでも地域によって状況が違い、東京23区など都市部ではいまだに希望者が多すぎる状態です。
また、統計に入っていない「隠れ待機児童」と呼ばれる子どももいます。たとえば、認可外保育園に通っている子や、希望する保育園に入れなかったために家で育てられている子どもたちです。この「隠れ待機児童」も含めると、実際の課題はもっと大きいかもしれません。
なぜ保育園に入れないの?
待機児童の問題には、いくつかの原因があります。
- 保育園が足りない
特に都会では、新しい保育園を建てる土地が少ないため、入園を希望する子どもの数に施設が追いついていません。 - 保育士さんが不足
保育士の資格を持っている人がいても、低い給与や厳しい労働環境が原因で、保育の仕事を続けられない人が多いのです。 - 地域ごとのニーズの違い
都会では保育園が足りない一方、地方では子どもの数が減って保育園に空きがあるという状況も見られます。 - 認可保育園の条件が厳しい
入れる基準が厳しく、希望する保育園に入れない家庭が多いことも問題です。特に認可外保育園では、保育の質にばらつきがあり、親が不安を感じることもあります。
今どんな対策が取られているの?
政府や自治体は、この問題を解決するためにいくつかの対策を進めています。
- 保育園を増やす
2013年から2023年までの間に、約150万人分の保育の受け皿が整備されました。その結果、待機児童数は10年間でおよそ80%も減少しています。 - 保育士さんの待遇を改善
2022年からは保育士の給与を月9,000円引き上げる措置がとられ、さらに補助金を支給することで人材の確保を目指しています。 - いろいろな保育の形を用意
小規模保育や企業主導型保育など、家庭の事情に合わせた選択肢を増やしています。 - 業務を効率化
ITを活用して、保育士さんの記録や事務作業を減らし、子どもたちに向き合う時間を増やす取り組みが進んでいます。
これからどうしていけばいいの?
待機児童問題を完全に解決するには、さらに次のような取り組みが必要です。
- 地域ごとに柔軟な対策を取る
都会ではもっと保育園を増やす必要がありますが、地方では保育園の空きを活用するための移住支援なども効果的です。 - 保育士さんが働きやすい環境づくり
給与を上げるだけでなく、仕事の負担を減らし、働き続けられる職場づくりが大切です。 - 認可外保育園の質を向上
すべての保育園が安全で安心できる場所になるよう、サポートや監査を強化していくべきです。 - 地域全体で子育てを支援
地域のお年寄りやボランティアが子育てに関わる仕組みを作れば、家族も地域も助かります。 - テクノロジーをもっと活用する
AIやロボットを使って、保育士さんの負担を減らし、子ども一人ひとりによりきめ細かく対応することが期待されています。
未来に向けて
待機児童問題は、家庭だけでなく社会全体に影響を与える大きな課題です。この問題を解決するためには、政府や自治体だけでなく、地域や企業も一緒に取り組むことが大切です。また、少子化対策とセットで考え、子どもを安心して育てられる社会を目指す必要があります。
みんなでこの問題に関心を持ち、小さな取り組みから始めることで、大きな変化が生まれるはずです。あなたの地域ではどんな工夫ができるでしょうか?
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