あの子が「貸して」を言えるまで

保育

私は現在こども園に勤務しているのですが、そこで一時的に2歳児クラスに入っています。


所属は正職でフリーなんですが、色々ありまして現在そのクラスにお邪魔させてもらっています。


その中にKくんと言う子がいます。


その子はなかなか激しい子で、思いどおりにいかないこがあるときは、噛む、叩く、突き飛ばす。


クラス全体への声かけには必ず「ヤダッ!」の一点張りで、行動もマイペース。


むしゃくしゃしているときは先生方も叩くものですから”扱いづらい子”の基本型みたいな子です。


私も11月の半ばから入ったときは叩くところを止めたり、事後であれば叱るなどその場の対応しかできておらず、根本的な解決方法がわかりませんでした。


それが年を跨いで本日令和4年2月23日、その子が初めて「貸して。」と言って友達とおもちゃのやり取りを目の前にして私はとても驚きました。


「え?あのKくんが貸してって言ったよ!めっちゃスムーズにそして穏やかにやり取りしてるやんけ!!」


と心の中で叫んでいたので、そのときに最近意識している声掛けをしそびれてしまいました。


今回はそれを紹介していこうと思います。


結論から言うと、

・安心感を持たせる声掛けやスキンシップ

・できたことに対してそのプロセス(過程)を褒める


この2点です。



●安心感を持たせる声掛けやスキンシップについて

Kくんは回りの先生方が「もうっ!」って思うほどいろんないたずらなどをします。

しかし、それは「もっと僕を見て!」「僕はここだよ!」という一種のSOSにも感じられました。

よく聞く話で、大人にあまり相手にされない子がいたずらをして気を引こうとする話。あるじゃないですか?

それなのかなと感じたわけです。

なので、なにもない時は「先生の大事なKくんおはよ」と声をかけたり、

コロナ禍なので大きい声では言えないですが、ぎゅ~~~~~~っと、ハグしてみたり、

何か注意されて「せんせいきらい!」と言われたときは反射的に「でも先生はKくんのこと大好きだよ!」と言ってみたり、

活動中勝手にそとに出ていってしまった時は、「Kくんがいなくなっちゃって先生とても悲しいな」など、

あらゆる場面で”先生にとってKくんはとても大切なんだよ。何をしていても、していなくても大好きなんだよ”という思いを言葉に託し伝えてみました。


●できたことに対してプロセス(過程)について

私たちは子どもが何かできたという時にそのできたことを褒めますよね?

でもそれは成果報酬方と言って、「○○をしたから褒められる」というような条件付きの褒め方になってしまい、それがこじれてしまうと結果が出せないことに尻込みする、物事に挑戦できない思考を植え付けてしまいます。

そこで、その結果を出すまでにその子が頑張ったことに目を向けて認めてあげたり、褒めてあげることが重要になってきます。

例えば、

~着替えの時~
私「あれ?Kくん脱いだジャージかっこよく畳めてるね。」

Kくん「Kくんできるんだよ!」

私「そうだね。いつも幼稚園で畳んでるからできできるようになってきたんだね。

Kくん「そうだよ!」

~言いそびれてしまったけど掛けたかった言葉~
Kくん「かーしーてー」

友達「いーいーよー」

Kくん「ありがと」←ちゃっかりありがとうも言えてる

私「Kくん貸してって言えたね。先生がお話ししたことを覚えててくれてありがと。

とこんな感じでその行動に至るまでの背景を日頃から観察して(または想像して)声掛けの工夫をしています。


こんな感じで関わり方を私なりに考えながら保育をしていて、結果がよい方向で出ているというお話しでした。実際にはまだまだ粗削りなところがあるのも事実なのでKくんも他の子達にもより良い保育を行っていこうと思っています。


実は、自分で思い付いたみたいに書いてありますけどちゃんと元ネタがあります。


それは前の 感情の起伏が激しい子の気持ちに寄り添う言葉かけをした結果… という記事でも紹介しましたが、現役保育士のてぃ先生の動画を参考にしています。


本当に役に立ちますよ。実際に使ってみると。


本年度Kくんと関われる時間はもう1ヶ月を切ってしまいましたが、彼の伸び代が無限大になるような、そんな関わり方をしていきたいです。



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