園生活では、子ども同士のトラブルは日常茶飯事です。おもちゃの取り合い、ちょっとした言い合い、時には手が出てしまうこともあります。こうしたトラブルは、子どもが成長する過程で避けては通れないもの。しかし、大人の関わり方次第で、子どもたちは「他者との関わり方」を学び、次第に自分たちで解決できるようになっていきます。
この記事では、園児同士のトラブルの種類を整理し、保育士が実践できる対応方法を詳しく解説します。
- よくある園児同士のトラブルと対応のコツ
① 物の取り合い・貸し借りトラブル
具体例: ある日、AくんとBくんが積み木で遊んでいました。BくんがAくんの作った塔を壊し、それをきっかけに2人が押し合いになりました。Aくんは「Bくんが勝手に壊した!」と怒り、Bくんは「Aくんの積み木が邪魔だった」と言います。
対応のコツ:
- 事実を整理する(「Aくんはどうしたかったの?」「Bくんはどうして壊したの?」)
- 相手の気持ちを考えさせる(「もしBくんが作った塔をAくんが壊したら、どう思う?」)
- ルールを一緒に決める(「お互いの作品を壊さない約束をしよう」)
このように、単なる仲裁ではなく、子どもが自分で考える機会を作ることが大切です。
② 叩く・押す・噛むなどの身体的トラブル
対応のコツ:
まずは ケガの確認と安全確保。
「叩いたらダメ!」ではなく、「気持ちを言葉で伝えよう」と伝える。
叩いた子には「どうして叩いたの?」と聞き、言葉での表現を促す。
叩かれた子には「痛かったね。次はどうしたらいいかな?」と考えさせる。
未満児の場合は、「痛かったね」と気持ちを代弁しつつ、「やめてって言おうね」と伝え方の見本を示すことが大切です。
③ 言葉のトラブル(暴言・からかい)
対応のコツ:
言葉の背景を確認(「どうしてそんな言い方をしたの?」)
相手の気持ちを考えさせる(「〇〇って言われたら、どう思う?」)
「もっと優しい言い方があるよ」と別の伝え方を提案する。
「バカ!」のような強い言葉には、「悲しい言葉を聞くと、お友だちはどう思うかな?」と問いかける。
年長児には、「自分が言われたらどう感じる?」と考えさせると、より効果的です。
④ 仲間外れ・グループ内のトラブル
対応のコツ:
「どうして入れたくなかったの?」と理由を聞く。
「お友だちはどんな気持ち?」と相手の立場を想像させる。
みんなで遊ぶ方法を一緒に考える。
仲間外れは子どもにとって大きな問題ですが、理由を聞いてみると「一緒に遊ぶルールを守ってくれないから」などの背景があることも。子どもたちが納得する解決策を探ることが重要です。
⑤ 順番やルールを守らないことによるトラブル
対応のコツ:
「順番を守ると、みんなが気持ちよく遊べるね。」とルールの大切さを伝える。
事実を整理し、順番を決め直す。
タイマーや砂時計を活用して、順番待ちを視覚的にわかりやすくする。
年長児には「どうしたらみんなが納得できる?」と考えさせるのもよい方法です。
- 年齢別の対応の違い
★ 2~3歳(未満児)
▶ 特徴
言葉での表現がまだ難しく、手が出やすい。
相手の気持ちを考えるのはまだ難しい。
▶ 対応のポイント
短く、シンプルな言葉で伝える。(「痛いね、やめようね。」)
大人が代弁する。(「Aくんも遊びたかったんだね。」)
見本を見せる。(「こうやって言うんだよ。」)
★ 4~5歳(年長児)
▶ 特徴
相手の気持ちを少しずつ考えられるようになる。
ルールを理解し、守る意識が出てくる。
▶ 対応のポイント
理由を考えさせる。(「どうしてこうなったと思う?」)
相手の気持ちを想像させる。(「〇〇くんはどんな気持ちだった?」)
解決策を一緒に考える。(「次はどうすればいい?」)
- 保育士が心がけたいこと
子どもの気持ちを受け止める。(「そうだったんだね」)
子ども自身に解決策を考えさせる。(「次はどうする?」)
必要に応じて大人がサポートする。
トラブルは、子どもにとって大切な「学びのチャンス」です。大人がすぐに解決するのではなく、「考える力」「伝える力」を育む関わりができると、子どもたちの成長につながります。
ぜひ、日々の保育の中で試してみてください!



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