「孫子の兵法」は昔の中国で書かれた戦いの考え方をまとめたものです。その中でも特に有名なのが「戦わずして勝つ」という言葉です。つまり、争う前に工夫して、できるだけスムーズに問題を解決するのが一番よい、という考え方です。
実はこの考え方、子育てや保育にも応用できます。子どもたちとぶつかるのではなく、あらかじめ工夫して衝突を防ぎ、穏やかに導く方法を考えてみましょう。
- 環境を整えて問題を未然に防ぐ
孫子は「戦う前に勝つ」ことが大切だと言っています。これは、子どもとのトラブルを防ぐことにも当てはまります。
例えば、
おもちゃの取り合いを防ぐために、同じようなおもちゃを複数用意する。
靴を自分で履けるように、履きやすい靴を選ぶ。
友だちとぶつかりそうな場面では、あらかじめ別の遊びに誘導する。
このように、事前に環境を整えておくことで、子どもと衝突する機会を減らすことができます。
- 子どもが自ら動くように誘導する
孫子の兵法では、「敵を誘導して有利な場所に導く」ことが重要視されます。これは子どもへの声かけにも応用できます。
子どもは指示されるより、自分で考えて行動するほうが納得しやすいものです。
例えば、
「片付けなさい!」ではなく、「どっちが早く片付けられるかな?」とゲームのようにする。
「手を洗いなさい!」ではなく、「おやつの前に手をきれいにすると、おいしく食べられるね!」と理由を伝える。
こうすると、子どもは「やらされている」のではなく、「自分からやる」感覚を持てるようになります。
- 感情的なぶつかり合いを避ける
孫子は「怒りにまかせて戦うのは下策」と言っています。子どもと向き合うときも、感情的に怒るのは避けたいところです。
たとえば、子どもがいたずらをしたときに、すぐに怒るのではなく、
「どうしてそうしたのかな?」と気持ちを聞く。
「次はどうしたらよかったと思う?」と考えさせる。
「やってはいけない理由」をシンプルに伝える。
こうすることで、感情的な衝突を減らし、子ども自身が納得して行動できるようになります。
- 長期的な視点を持つ
孫子は「短期的な勝ち負けではなく、全体を見て勝つべき戦を選べ」と言っています。
子育てや保育も、目先の結果ではなく、長い目で子どもの成長を見守ることが大切です。
今日はうまくできなくても、明日は少し成長しているかもしれません。
失敗したときも、「どうすれば次はうまくいくかな?」と学びの機会にする。
すぐに結果を求めず、子どものペースを大切にする。
短期的な成功だけを求めるのではなく、子どもが自分で考え、成長することを意識すると、無駄な衝突が減ります。
まとめ
「孫子の兵法」は戦いのための知恵ですが、その本質は「無駄な争いを避けるための工夫」にあります。
子どもとの関わりも同じです。
環境を整えて衝突を防ぐ
子どもが自ら動けるように誘導する
感情的にぶつからない工夫をする
長期的な成長を意識する
これらを意識することで、「戦わずして勝つ」子育てや保育ができるようになります。
子どもとの関係をもっとスムーズにしたいときは、ぜひ孫子の考え方を取り入れてみてくださいね。
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