〜片付け・食事・イヤイヤ期に使える工夫〜
「どうして子どもは片付けを嫌がるの?」
「食事を残さず食べてもらうには?」
「イヤイヤ期にうまく対応するには?」
子どもと過ごす中で、こんな悩みを感じることはありませんか?
実は、これらの問題に「行動経済学」を活用すると、スムーズに解決できるかもしれません。
行動経済学とは、人がどんなふうに意思決定をするのかを研究する学問です。人は「合理的に考えて行動する」と思われがちですが、実際には気分や環境の影響を大きく受けています。特に子どもは「楽しい」「ワクワクする」「損をしたくない」といった気持ちが強く、行動を変えるカギになります。
そこで今回は、行動経済学の考え方を活かして 子どもの行動を自然に良い方向へ導くコツ を紹介します。
- 片付けが苦手な子が、自然に片付けたくなる仕組み
「片付けて!」と言っても、なかなか動いてくれない…。
そんなとき、環境を少し変えるだけで、子どもは自分から片付けるようになります。
① 片付けやすい環境をつくる(ナッジ理論)
ナッジとは、「ちょっとした工夫で行動を後押しする」という考え方です。
▼ 具体例
おもちゃ箱に「ぬいぐるみ」「ブロック」などのラベルをつける(文字だけでなく写真も!)
片付ける場所の枠を色テープで囲み、「ここに入れる」と分かるようにする
「おもちゃの帰るおうちを探してあげよう!」と話しかける
「どこに片付けるの?」が分かると、子どもはスムーズに行動できます。
② 片付けが楽しくなる工夫(ゲーム化)
「お片付けは面倒」と思っている子には、遊びの要素を入れてみましょう。
▼ 具体例
「どっちが早く片付けられるか競争しよう!」
「おもちゃをおうちに帰らせてあげよう!」
片付け専用の音楽(片付けソング)を流す
楽しくなると、片付けのハードルがぐっと下がります。
- 食事を残さず食べてもらう工夫
「どうしても途中で飽きてしまう…」
「好き嫌いが多くて困る…」
こんなときに役立つのが 損失回避の考え方 です。人は「得すること」よりも「損をしたくない」という気持ちの方が強いと言われています。
① 損したくない気持ちを活かす(プロスペクト理論)
▼ 具体例
NG例:「全部食べたらデザートがあるよ」
OK例:「デザートが最初に出ていて、残したら回収される」
すでにあるものを失いたくない気持ちが働き、食べる意欲が増します。
② お皿の工夫で完食を促す
▼ 具体例
「お皿の底に動物の絵が隠れているよ!」→「全部食べると見える!」
「ご飯を全部食べたら、シールがもらえるよ!」
「最後まで食べると良いことがある」と思えたら、自然と食べ進めてくれます。
- イヤイヤ期の子どもに、スムーズに動いてもらう方法
「お風呂入ろう」→「イヤ!」
「おトイレ行こう」→「行かない!」
この時期の子どもは「自分で決めたい!」という気持ちが強く、「○○しなさい」と言われると反発しがちです。そこで 選択肢をうまく使う のがポイントです。
① 「○○する?」ではなく「どっちにする?」と聞く(選択の工夫)
▼ 具体例
「お風呂入る?」 → 「アヒルさんとお風呂?お魚さんとお風呂?」
「おトイレ行く?」 → 「ウサギさんみたいにジャンプして行く?ゾウさんみたいにゆっくり歩いて行く?」
「お昼寝しよう」 → 「パンダさんみたいに丸くなる?キリンさんみたいに長くのびる?」
「しない?」と聞くと 「しない!」が選べてしまう ので、「どうする?」と選択肢を用意するのがコツです。
- 朝の登園をスムーズにする工夫
「保育園に行きたくない…」
「玄関でグズる…」
こんなときには 「いつもの習慣」にしてしまう のが効果的です。(現状維持バイアス)
① 朝のルーチンを決める
▼ 具体例
玄関に「今日のミッション!」(ジャンプ3回して出発!など)を貼る
玄関に「バイバイのハイタッチゾーン」を作る
保育園に着いたら「シールを1枚貼る」
「いつもこうしてるから、今日もやる」という気持ちが働き、登園がスムーズになります。
- 「あとちょっと頑張る」を引き出す工夫
「途中で飽きてしまう…」
「最後までやりきれない…」
こんなときは ゴールが近く感じる工夫 をしてみましょう。(ゴール・グラデーション効果)
▼ 具体例
NG例:「10回できたらシールがもらえるよ!」
OK例:「最初から2つ貼ってあって、あと8個でゴール!」
「すでに進んでいる」と感じると、やる気が続きやすくなります。
まとめ:行動経済学で子どもが自然に動く仕掛けを作ろう!
子どもの行動を変えようとするとき、「もっと頑張らせよう」「もっと言い聞かせよう」と考えがちです。
でも、環境や声かけをちょっと変えるだけで、子どもは自然に動いてくれる ことが多いのです。
✔ 片付け → 片付けやすい環境を作る
✔ 食事 → 損したくない気持ちを活かす
✔ イヤイヤ期 → 選択肢を工夫する
✔ 登園 → ルーチン化する
✔ 継続 → ゴールが近く感じる仕掛けを作る
毎日のちょっとした工夫で、子どもとの時間をもっと楽しく、スムーズにしてみませんか?



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