子どもが進んで行動するようになるには、「みんながやっている」ことをうまく伝えるのがポイントです。これは「社会的証明の原理」という心理学の仕組みを活用した方法で、子どもたちに無理なく良い習慣を身につけてもらうのに役立ちます。
この記事では、社会的証明の原理とは何か、保育や子育てにどう活用できるのか、逆効果にならないためのポイントを詳しく解説します。
- 社会的証明の原理とは?
社会的証明の原理とは、「人は周りの人の行動を見て、自分の行動を決める」という心理のことです。
たとえば、
行列のできているお店を見て「ここは美味しいんだ」と思う
みんなが拍手していると、自分もつられて拍手する
口コミの評価が高いと、「きっと良い商品だ」と感じる
このように、人は「みんながやっていることは正しい」と考えやすいのです。
これは子どもにも当てはまります。子どもは特に、周りの友だちや大人の行動を見て学ぶため、この仕組みをうまく使えば自然に良い行動を引き出すことができます。
- 社会的証明の原理を保育や子育てに活かす方法
では、具体的にどのように活用すればいいのでしょうか?ポイントは「みんながやっている」ことをうまく伝えることです。
① 良い行動を目立たせる
❌ NG例:「最近、お片付けをしない子が多いです」
→ これを聞いた子どもは「お片付けしないのが普通なんだ」と思い、逆効果になることがあります。
✅ OK例:「みんなが上手にお片付けしてくれたね!」
→ 「片付けるのが普通のこと」と感じやすくなります。
【応用例】
「ほとんどの子が手を洗ってピカピカになったね!」
「○○くんはもう準備できたね!他のお友だちもできるかな?」
② 先に行動した子をほめる
❌ NG例:「みんな手を洗いなさい!」
→ 指示されると「やらされている」と感じてしまう。
✅ OK例:「○○ちゃんはもう手を洗ってるね!ピカピカだ!」
→ 「自分もやりたい!」と感じて、自然に手を洗う子が増えます。
【応用例】
「○○くんが進んでお片付けしてるね!ありがとう!」
「△△ちゃんが自分で靴を履けたね!すごい!」
③ 「みんなやってるよ!」を自然に伝える
❌ NG例:「お片付けしなさい!」
→ 命令されると、やる気がなくなることも。
✅ OK例:「ほとんどのお友だちがもうお片付けしてるよ!」
→ 「じゃあ自分もやらなきゃ!」と感じやすくなる。
【応用例】
「年長さんは自分で準備できてるね!年中さんもできるかな?」
「クラスのほとんどの子がトイレの後に手を洗ってるよ!」
④ 「あなたがやると、もっと良くなる」ことを伝える
❌ NG例:「もうみんなやってるから、あなたはいいよ」
→ 「じゃあ自分はやらなくていいや」と思われる。
✅ OK例:「○○くんが手伝ってくれたら、もっと早く終わるね!」
→ 自分の行動が「意味がある」と思いやすくなる。
【応用例】
「あと少しで全部片付くね!○○くんが手伝ってくれたら、もっと早く終わるよ!」
「お当番さんが頑張ってるね!他のお友だちも協力するともっとスムーズになるよ!」
⑤ 子ども自身に選ばせる
❌ NG例:「みんなやってるから、あなたもやりなさい」
→ 圧力を感じて、反発することも。
✅ OK例:「お友だちもやってるけど、○○くんはどうする?」
→ 自分で決めると、納得して行動しやすい。
【応用例】
「みんな楽しそうにやってるね!○○ちゃんもやってみる?」
「お兄ちゃんがやってるのを見て、○○くんもやってみる?」
- 逆効果にならないための注意点
社会的証明の原理を使うとき、次のポイントに注意しましょう。
❌ 「悪い行動を目立たせない」
→ 「みんなやっていない」と伝えると、逆にその行動が普通だと思われる
→ 「良い行動が増えている」とポジティブに伝える
❌ 「強制しすぎない」
→ 「みんなやってるから、あなたも!」と圧をかけると、逆にやりたくなくなる。
❌ 「大人の都合を押しつけない」
→ 子どもが自分で選んだと感じることが大事。
- まとめ
✔ 良い行動を目立たせる(悪い行動を強調しない)
✔ 「誰かがやってる」ことを伝える
✔ 「みんなやってるよ!」と自然に促す
✔ 「あなたがやると、もっと良くなる」ことを伝える
✔ 子ども自身に選ばせる(圧をかけすぎない)
子どもたちは周りの行動を見て学びます。社会的証明の原理を上手に使うと、子どもが「やらされる」のではなく、「やりたい!」と思えるようになります。
ぜひ、保育や子育てに取り入れてみてください!



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