1.はじめに
「この子、どうしてこんなにすぐ集中が切れちゃうんだろう?」
そんなふうに感じたこと、ありませんか?
小さな子どもたちは、気になることがいっぱい。おしゃべりしたり、立ち歩いたり、ちょっと目を離したすきに違うことをしていたり…。でも実は、それって「集中力がない」のではなく、その年齢なりの集中力の持続時間にちゃんと理由があるんです。
この記事では、3~5歳の子どもたちの集中力の目安や、活動中に気をつけたい工夫やポイントについてお伝えしていきます。
「うちの子、これでいいんだ!」と安心できたり、保育の現場での声かけが変わったりするきっかけになればうれしいです。
2.年齢別の集中力の持続時間
幼児の集中力って、どれくらい続くか知っていますか?
実は、3~5歳の子どもたちは、大人のように長い時間ずっと同じことに集中するのは難しいもの。一般的には、以下のような目安があります。
3歳児:5~10分
4歳児:10~15分
5歳児:15~20分
この時間は、たとえば「お絵かき」や「工作」など、ひとつの活動に集中できるおおよその時間です。
もちろん、これはあくまで“目安”なので、子どもの性格やその日の体調、興味の度合いなどによって変わってきます。大好きな遊びなら、もっと長く夢中になることもありますし、逆に、あまり興味がないことには数分も持たないことも。
だから、「すぐ飽きちゃって…」とがっかりしなくても大丈夫。
それは集中力がないのではなく、“発達に合った集中力”なんです。
この集中力の目安を知っておくと、日々の関わり方にも余裕が生まれますよ。
3.集中力が切れるとどうなる?
子どもたちの集中力が限界に近づいてくると、行動にも変化が見られます。
たとえば…
キョロキョロし始める
立ち上がって歩き回る
近くの子にちょっかいを出す
なんとなく話し始める
ボーっとしているように見える
これらは、「もう集中力が切れかけてるよ」というサイン。
決して「ふざけている」「やる気がない」わけではないんですね。
大人の目から見ると、「ちゃんと最後までやってほしい」と感じることもあるかもしれません。でも、子どもたちは今、自分の精いっぱいで頑張っていることが多いんです。
ここで大切なのは、叱るよりも「集中が切れるタイミング」に気づいてあげること。
そして、無理に引き延ばさずに、ちょっとした切り替えや休憩をはさむことで、また集中し直すことができる場合もあります。
「この子、今どんな気持ちかな?」「少し疲れてきたかな?」
そんなふうに見守る視点を持つだけでも、子どもとの関わりがグッとやさしくなりますよ。
4.活動の時間設定のポイント
集中力の目安がわかったら、次に考えたいのが活動時間の設計です。
子どもたちが無理なく楽しめるようにするためには、「集中力が切れる前に活動を区切る」ことが大切です。
つい、「せっかく集中しているんだからこのまま続けよう」と思ってしまうこともありますが、あえて“物足りないくらい”で切り上げる方が、次への意欲につながりやすいんです。
たとえば:
絵本の読み聞かせ
→ 2冊連続で読むより、1冊読んで感想を話し合うなど、間を取る工夫を。
制作活動
→ いきなり全部を一度にやろうとせず、工程を分けて「今日は色を塗るところまでね」と段階的に進める。
運動あそび
→ ずっと同じルールで続けるよりも、5~10分でルールを少し変えるなど、飽きさせない仕掛けが効果的。
また、「この活動は最後までやらなきゃダメ」と思いすぎずに、「途中まででもOK」「また今度続きをやろうね」と余白を残す声かけをしておくと、子どももプレッシャーなく取り組めます。
その子のペースに寄り添った時間設定をすることで、結果的に集中して取り組める時間も増えていくんです。
5.集中力を育てる環境づくり
子どもたちの集中力をぐっと引き出すには、「どんな環境で活動するか」も大きなカギになります。
落ち着いて取り組める空間を用意することで、子ども自身が自然と集中しやすくなるんです。
【ポイント1】視界の中をシンプルに
活動スペースの周りにおもちゃやカラフルな掲示物がたくさんあると、ついつい気が散ってしまうことも。
集中してほしいときは、必要なものだけを机に出す、背景を整えるなど、視覚的な情報を少なくしてあげましょう。
【ポイント2】音の環境も意識する
にぎやかな声や物音が多いと、集中しようにも難しいもの。
「制作コーナー」や「読み聞かせの場所」など、用途に合わせて静かな環境をつくる工夫があると、子どもたちも安心して取り組めます。
【ポイント3】子どもの姿勢や座る場所を見直す
椅子や机の高さが合っていなかったり、足がぶらぶらしていたりすると、集中しづらくなってしまいます。
姿勢が安定すると、体も気持ちも落ち着くもの。足がしっかり床につく高さになっているか、一度見直してみるのもおすすめです。
【ポイント4】ちょっとした“自分のスペース”をつくる
特に人数が多い場面では、「周りが気になって集中できない」という子もいます。
そんなときは、パーテーションや棚で仕切るなど、「ちょっとこもれる場所」をつくってあげると、自分の世界に入りやすくなります。
6.さいごに ~見守ることも力になる~
子どもたちの集中力を育むためには、「見守る力」も大切です。
特に、子どもが「集中できない」瞬間や「飽きてきた」と感じたとき、つい大人は焦ってしまうことがあります。しかし、無理に引き止めたり、長く続けさせたりすることは、逆効果になることもあります。
子どもたちは、自分のペースで進んでいきたい気持ちが強いものです。その気持ちを大切にして、無理にでも続けさせようとせず、その子なりのペースに合わせてあげることが、実は集中力を育てる近道となります。
「どうして集中できないんだろう?」と感じるときこそ、子どもたちがどんなサインを出しているのか、どんな気持ちでいるのかをよく観察してみましょう。その上で、必要に応じて活動を切り替える、休憩を入れる、または声をかけてあげるなど、優しく見守る姿勢が大切です。
時には、子どもたち自身が「やりたい!」と感じる気持ちを育てるために、「また今度やってみようね」と余裕を持たせてあげることが、次への意欲を引き出すことにもつながります。
7.まとめ
3~5歳の子どもたちは、年齢に応じた集中力の持続時間があり、それを理解した上で活動を進めることが大切です。
集中力が切れるサインを見逃さず、無理に引き延ばさないことが、次の活動への興味を保つコツ。
集中しやすい環境を作ることで、子どもたちはさらにスムーズに取り組むことができます。
最後に、焦らず見守ることが、子どもの成長を支える力となります。
子どもたちが自分のペースで集中できるよう、日々の関わり方や環境づくりを工夫していきましょう。そうすることで、子どもたちの「できた!」を一緒に喜び合うことができ、学びがさらに楽しいものになりますよ。



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