「集中」と「勢い」で心に火を灯す
はじめに
『五輪書』第三章、「火の巻」。
宮本武蔵はここで、
「ためらわずに攻め、一気に相手を圧倒せよ」
と教えています。
火は一瞬で燃え広がり、場を一変させます。
だからこそ、迷わず集中し、勢いを生み出すことが大切だと。
これは保育にも、驚くほどぴったりと重なります。
子どもが何かに夢中になるとき
遊びにぐっと引き込まれるとき
仲間と笑顔で挑戦しあうとき
その背景には、
「一瞬に燃え上がる力」が必ずあります。
今回は、「火の巻」から、
子どもの集中力と意欲を育てるヒントを探していきます。
火の巻が伝える「一瞬に燃える力」
武蔵はこう語ります。
「火は、小さきより大なるに移るものなり。」
小さな火種も、燃え広がれば大きな力になる。
だからこそ、最初の一瞬を逃してはいけない。
保育で言えば、
子どもたちがふと見せる「やりたい」「知りたい」という気持ち。
それをキャッチし、
迷わず、すぐに勢いをつけていくことが大事なのです。
保育に生かす「火の巻」の実践
では、子どもたちの心にどうやって火を灯し、燃え広げていけるのでしょうか?
1.小さな興味を見逃さない
火が燃え広がるためには、
小さな火種にすぐに燃料をくべることが必要です。
「これ、なに?」とつぶやく
石ころを拾ってじっと見つめる
ちょっと得意げな顔をする
こうした瞬間を見つけたら、
すぐに反応して、広げていくこと。
「面白そう!やってみようか?」
そんな一言が、火種を一気に大きくします。
2.ためらわず、勢いをつける
武蔵は言います。
「ためらえば、火勢弱し。」
火は、ためらうとすぐに弱まる。
保育でも、
「今は忙しいから後で…」
「ちょっと準備ができてないから…」
と後回しにすると、
子どもたちの意欲の火はしぼんでしまいます。
だからこそ、
迷ったら「今すぐやろう!」と勢いをもって応じる。
このスピード感が、子どもの集中を引き出します。
3.保育者自身が熱くなる
火は、周りを巻き込みながら燃え広がります。
子どもたちの集中と意欲を育てるには、
保育者自身が心から楽しみ、熱くなることが不可欠です。
一緒に夢中になる
驚きを共有する
挑戦を心から応援する
保育者の本気が、子どもたちの本気を呼び起こします。
「大人だってこんなに楽しんでいいんだ!」
そう感じたとき、
子どもたちはもっと自由に、もっと熱くなれるのです。
おわりに
「火の巻」は、
ためらわず、集中し、勢いをもって挑むことの大切さを教えてくれます。
保育でも、
小さな興味を見逃さず
すぐに応え
本気で関わり
勢いを恐れずに広げていく
その積み重ねが、
子どもたちの心に大きな火を灯していきます。
迷ったときは、思い出しましょう。
「火は、小さきより大なるに移る。」
今ここにある小さな火種を、
一緒に大きな情熱に育てていきましょう。
次回は「風の巻」。
もっと自由に、もっとしなやかに、子どもたちの成長を見つめます。
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