「風林火山」で考える子育て ~戦わずして導く、孫子の知恵~

子育て

「風林火山(ふうりんかざん)」と聞くと、武田信玄の軍旗を思い浮かべる人もいるかもしれませんね。この言葉は、実は中国の古典『孫子の兵法』からきています。本来は戦いの極意を表した言葉ですが、これを子育てに応用してみると、ちょっと面白い考え方ができるんです。

子育てはまさに日々の戦い……いや、戦いではなく「導くこと」と考えると、孫子の教えはとても役に立ちます。今回は「風林火山」をキーワードに、子どもとの関わり方を考えてみましょう!


「風林火山」の本来の意味

まずは、「風林火山」の元の意味を見てみましょう。『孫子の兵法』には、こう書かれています。

「其疾如風、其徐如林、侵掠如火、不動如山」
(そのはやきこと風のごとく、そのしずかなること林のごとく、しんりゃくすること火のごとく、うごかざること山のごとし)

これを現代語にすると、こんな意味になります。

風のように素早く動け(すばやく行動し、チャンスを逃さない)

林のように落ち着いて構えよ(じっくり待ち、焦らない)

火のように攻めろ(ここぞというときには、全力で関わる)

山のように動じるな(大切なことはブレずに貫く)

この言葉を「子育て」に当てはめてみると、どんな気づきがあるでしょうか?


① 風のように素早く(其疾如風)

「チャンスを逃さず、すぐに行動する」

子どもは成長が早く、その時々の興味や気持ちも変わっていきます。だから、「これだ!」と思った瞬間に、すぐ動くことが大事なんです。

例えば……

子どもが「やってみたい!」と言ったら、できるだけ早く対応する。
→ 「今度ね」と先延ばしにすると、せっかくの興味が冷めてしまうかも。

危険なことは、すぐに止める。
→ 迷っている間に、大きなケガにつながることも。

「子どもの心の風向きを感じて、タイミングよく動く」ことが、成長をサポートするポイントです。


② 林のように落ち着いて(其徐如林)

「焦らず、じっくり待つことも大切」

子育てをしていると、「早く〇〇できるようになってほしい!」と思うことが多いですよね。でも、何でもすぐに結果を求めると、子どもはプレッシャーを感じてしまいます。

子どもがなかなか食べない、話さない、歩かない……
→ 成長には個人差があるから、焦らなくても大丈夫。

「なんでこんな簡単なことができないの?」と思ったら……
→ 「林」のように静かに見守ることが必要なときかも。

特に、学びや習慣づけは「林のようにじっくり」が大切。「急がば回れ」の気持ちで、子どものペースを尊重してあげましょう。


③ 火のように全力で(侵掠如火)

「ここぞというときは、情熱を持って関わる」

子育ての中には、「本気で向き合うべきタイミング」があります。

命に関わること(道路に飛び出す、危険なことをする)
→ こういうときは、しっかり目を見て「ダメなものはダメ」と伝える。

大切な価値観を伝えるとき(嘘をつく、人を傷つける)
→ 叱るのではなく、「なぜ大事なのか」をしっかり伝える。

普段は穏やかでも、「ここだけは譲れない!」という場面では、火のように熱く。子どもは、親の本気をしっかり感じ取ります。


④ 山のように揺るがず(不動如山)

「大事なことはブレずに守る」

子どもは、親の言動をよく見ています。「昨日と言ってることが違うな?」と感じると、子どもは迷ってしまいます。

「ダメ」と決めたことは、一貫して守る。
→ その場の気分でOKにすると、子どもも混乱する。

子どものワガママに流されない。
→ なんでも要求を聞くと、逆に不安定になることも。

山のようにどっしりとした安心感を持ち、「この人の言うことは信じられる」と思ってもらうことが、子育ての軸になります。


「風林火山」で考えると、子育てが面白くなる!

この4つの視点を意識してみると、子育てが少し楽になるかもしれません。

「今は風のように動くときかな?」
「ここは林のように待つべき?」
「火のように本気で伝える場面?」
「山のようにどっしり構えるべき?」

そうやって考えると、子育ての悩みも「戦略を立てる」ような感覚になってきます。戦うのではなく、うまく導くことが大事。孫子の教えを借りながら、日々の子育てをちょっと面白く考えてみるのもいいかもしれませんね!

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